IR法案で注目されるカジノはなぜ現在の日本では違法なのか?

日本のIR実施法案に欠かせないものがカジノです。ですが、現在日本ではカジノの設置は禁止されており、闇カジノや裏カジノ、違法賭博と言った賭け事に関するニュースが話題になることもあります。日本では賭け事は法律で禁止されていることから、統合型リゾート施設であるIR施設にカジノを設置するのは難しく、現在合法的にカジノを運営することができるように法整備が進んでいます。

 

■賭博を禁じる法律

 

日本に合法的にカジノができると聞いて驚いた人も多いのではないでしょうか。ですが一方でカジノ構想が具体的に進んでいてもいまいち盛り上がりに欠けるというか、あまりカジノをよく思っていないという人も一定数存在します。恐らく、カジノ=ギャンブルという悪いイメージを強く持っている人が多いからではないでしょうか。そしてギャンブルに悪いイメージを持っているのは法律でギャンブルが禁止されていることが1つの理由となっています。

 

▲日本では原則ギャンブルが禁止されている

 

日本の刑法では、ギャンブルつまり賭博行為は禁止されています。お金を賭けて勝負事を楽しむのは日本では刑法で定められた犯罪行為です。現行の刑法では、賭博行為は刑法第185条、第186条で禁止されており、刑法の条文では、

 

第185条 賭博をした物は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまる時はこの限りではない。

 

第186条 常習として賭博をした物は3年以下の懲役に処する。

第186条2項 賭博場を開帳し、又は賭博を結合して利益を図った者は、3ヶ月以上5年以下の懲役に処する。

 

となっています。これらの刑法により単純賭博罪や常習賭博罪、賭博開帳図利罪に問われることになります。

 

■競馬やパチンコはなぜ違法ではないのか?

 

日本では法律で賭博行為が禁止されていると聞いて、疑問に思うのがパチンコや競馬などの存在です。また宝くじなども賭博行為にあたるのではないかと思う人もいるでしょう。現在日本では、一般的な社会生活の範囲で行うことができる賭博は5系統あり、競馬や競艇、競輪やオートレース、宝くじやtoto、パチンコやパチスロ、麻雀などがこれにあたります。競馬や競輪、オートレースや競艇、宝くじやtotoは公営賭博と呼ばれ、それぞれに監督省庁が存在して、国庫などの収入源の一部となっていることから合法な賭博であると言えます。公営賭博以外のパチンコや麻雀は厳密に言えば違法となるのですが、この部分は非常にグレーであり、特にパチンコは三店方式と呼ばれる営業形態で刑法に抵触することを回避していることで合法的にパチンコを楽しむことができる状況になっています。賭け麻雀に関しては、パチンコ以上に違法性が高くなるので身内内で行うのであれば捕まる可能性は低くても絶対に0とは言い切れません。

 

▲オンラインカジノの摘発が増加している

 

近年、増加しているのがオンラインカジノの摘発です。インターネットサイトにパソコンなどを使ってアクセスし、オンライン上でカジノを楽しむことができるのがオンラインカジノですが、現行の刑法ではオンラインカジノも犯罪行為となります。ただし、オンラインカジノは海外のサーバー上にあることがほとんどで、賭博を禁じる刑法は日本国内にのみ適用されるので日本人が海外のオンラインカジノにアクセスして賭博行為を楽しんだとしても賭博罪に問うのは難しいという面もあります。

 

■カジノ合法化で違法カジノを排除する狙い

 

現在の日本の法律ではカジノを国内につくることはできません。ですが、カジノを合法化することができれば違法に運営されている違法カジノを排除することができると政府は考えています。カジノを認めて公的な機関が運営に関わることで、これまで違法な賭博施設を利用していた客を取り込んで、違法カジノなどを減らすことができるのではないかという狙いもあります。