ラスベガスの収益システム
IR法案が可決し、日本でも統合型リゾート施設が今後作られるとみられています。国内外から多くの観光客が集まってきて、経済効果が期待できます。世界中にはいくつかカジノを運営している都市がありますが、それぞれ異なるビジネスモデルを確立して、安定した収益を得ています。
カジノと聞いて、多くの人がアメリカのラスベガスをイメージするかもしれません。ラスベガスでは1990年代以前は、カジノが収益のメインを担ってきました。しかしその後総合エンターテイメント路線に転換することでカジノ以外のジャンルからの収益が得られるようなシステムを確立しています。飲食やショーなどのイベント、宿泊が収益の過半数を占めているといわれています。相対的にカジノの占める割合は年々縮小しています。カジノというよりもテーマパークのようなアミューズメント施設に変身しました。人気アーティストのコンサートや世界的なグループの大型イベントを積極的に誘致しています。ギャンブルに興味のない層も観光客として獲得し、収益の安定化に成功しました。
マカオの収益システム
アジアの中ではマカオはカジノ都市として有名です。マカオはラスベガスとは違って、カジノに特化することで収益を得るシステムをとっています。全体に占めるカジノの収益は7割以上といわれています。いわゆるVIP客といわれる高額の賭け金を払ってくれるお客さんに力を入れています。中国人をはじめとしたアジア系の富裕層はマカオをしばしば訪れて、ギャンブルに興じています。彼らは一晩で数百万円や数千万円という単位のお金を使います。彼らに依存して収益を得ています。ですからもし世界的な不況が起こって、彼らがやってこなくなった場合のことを考えると若干リスキーなビジネスモデルと言えるかもしれません。
シンガポールの収益システム
シンガポールもカジノ都市として近年注目を集めています。2010年にオープンしましたから後発の部類です。こちらは先ほど紹介したラスベガスとマカオのちょうど中間的な立ち位置といわれています。カジノの収益に占める割合は半分前後と考えられています。しかしカジノの占める割合がこれ以上大きくならないように規制されているので、カジノ依存にならないような仕組みになっています。様々なエンターテイメントで観光客の誘致に成功しています。収益も順調に拡大していますが、客層は中国人の富裕層に依存する側面も否定できません。
日本はどのような収益システムを目指しているのか?
では日本ではどのようなビジネスモデルを志向しているかですが、IR法案を見ると高めの料金設定になっています。日本人や在日外国人には6000円の入場料を科しています。こうすることでギャンブル依存防止を目指しています。ほかにも日本人には週3回・月10回を上限として入場回数の制限を設けています。一方で訪日外国人については無料としています。こうすることで気軽に立ち寄れるようにして、誘致拡大、経済効果の最大化を目指します。
カジノ事業者に対しては、収益の30%を納税するよう義務付けられています。徴収されたこの納付金ですが国とカジノが置かれている都道府県で半分ずつ分配します。このお金ですが、観光や福祉目的で使用することになっています。ギャンブル依存症対策については一定の配慮を行っていますが、カジノの収益が全体のどのくらいを占めるかについてはまだ不透明なところがあります。国で方針をまとめるのか、それぞれのカジノ設置する都市の自主性に任せるかについてもまだはっきりしたことは出てきていません。どのようなビジネスモデルで運営をするのか、はっきりとした方針を出せるかが今後の課題になるでしょう。