平成28年の成立したIR法案整備推進法によってカジノ運営の具体的な制度に関してはIR実施法案で定めることになっており、これまで設置場所やギャンブル依存症対策、治安に関する不安など意見が求められる中で、政府のIR事業に関する動きもより活発的になってきました。
■カジノ開業の区域数は全国で3ヶ所??
東京都や大阪府、神奈川、長崎、北海道など、IR事業による経済効果を期待して様々な都道府県や市町村などがカジノ設置場所の候補地として名乗りを挙げていますが、3月に入ってIR実施法案の検討部会の座長である遠山清彦衆議院が、カジノを含むIR施設が開業できる区域数は最大でも全国で3ヶ所が妥当との認識を示したことで、よりカジノ実施法案が具体的になりつつあります。昨年8月にまとめられた提言ではIRはカジノだけではなく国際会議場やホテルなどの施設を統合的に運営する施設と定義しており、1つのIRに設置できるカジノは1ヶ所となっているので、日本で開業することができるカジノは最大3つとなります。また政府案には1つのIRに占めるカジノの面積の上限は1万5000平方メートルとしており、1万平方メートルは野球場のグラウンドの大きさほどです。
■入場料や納付金に関する案も提示されている
カジノはいったいどこにできるのか気になっているという人も多いのですが、具体的な設置ヶ所数に加えて与党に提示されたのが入場料や納付金です。カジノができたら是非利用したいという人は入場料の有無や金額も気になるのではないでしょうか。現在、提示されているカジノの入場料は2,000円となっています。カジノ法案に関する調整を行っている党内では低いのではという意見もあることから、今後は引き上げを求められる可能性もあります。ただし、入場料を引き上げる代わりにIR事業者から徴収する納付金のGGR比例にかかる負担率を低めにするなどの配慮が取られる予定です。
カジノ実施法案に関する調整が具体的に行なわれている中で、観光振興の観点から考えると政府が提示する案は厳しいのではないかという声もあります。
■具体的な案が提示される中で未だ懸念されるギャンブル依存症
日本にカジノを作る上で常に懸念され続けているのがギャンブル依存症の問題です。政府はカジノに関する具体的な制度を定めるためにIR実施法案の作成を進めていますが、ギャンブル依存症への対策が不十分だという声も多く、与党は強い懸念を抱いています。すでに日本にはパチンコや競艇、競馬などのギャンブル依存症と疑われる人は536万人いると厚生労働省が打ち出したことで、カジノ実施法案が具体的な調整に入っている中で注目されています。具体的な調整が進む中でカジノ実施法案によって借金や借金による犯罪、家庭崩壊などが起こることがないようギャンブルへの依存への予防が広く求められています。
▲一週間に3日という制限について
先日政府は日本人や日本在住の外国人の入場は「連続する7日間に3回」かつ「連続する28日間で10回」までという制限を提示しました。カジノを含むIR施設の設置はあくまでも外国人観光客の誘致のためであり、いつでも行くことができる日本人や日本在住の外国人がカジノに入り浸らないようにという狙いがあり、日本人や日本在住の外国人に対するギャンブル依存症対策として盛り込まれた案ですが、7日間に3回であれば2日に1回は行ける計算になり、ギャンブル依存症対策としては甘いのではないかと与党から批判の声も上がっています。
もともと政府は今回のIR実施法案で世界最高水準の規制を方針としているのですが、すでにカジノがある国々よりも甘い場合もあり、現在の政府の案が日本人や日本在住の外国人のカジノの利用抑制に繋がるのか疑問視されています。